アフターコロナで戻るもの・戻らないもの予想(2021/10時点)

はじめに

  • コロナ禍はワクチン接種の進捗に応じて終息に向かうとされていたけれど、実際には変異株の感染力が強いことなどもあって、そうはならなさそうな雰囲気があります。しばらくはこんな感じなのでしょう。とはいえいつかは、過去にインフルエンザのパンデミックがそうだったように、酷かった時よりは随分マシだよねとか言って、多少は人が罹ったり死んだりするのを許容しつつコロナ禍が終わったことになるんだろうと思います。
  • そうやって、どこかのタイミングでコロナ禍が終わっていくと考えたときに、コロナ禍で起こった変化については、元に戻るものもあれば、残っていくものもあるだろうと思います。そこで、この記事は、何は戻りそうか?何は戻らなさそうか?をだらだらと考えてみたという内容です。
  • 感染症の側がどう変化していくのかも、それに対して社会の側がどうアプローチするかも、さらにそれらがどう相互作用していくかも、相当な不確実性があるはずで、諸々の予測の精度には限界があるだろうと思っています。ぶっちゃけ全然状況が読めないと思う。そういうわけで、以下の内容はほぼ全部仮説にすぎず、そこまで根拠は付けてません。

 

本文

書いていない観点を後から思いついたら適宜追記します。
人々の意識レベルの話にエビデンスをつけるのも難しいと思っているけど、思うところがあれば追記します。

  • 総じて、従来からあったのがコロナ禍で普及したのであれば今後も続きそう、コロナ対策が重要でなくなってもメリットが大きければ続きそう、デメリットが大きければなくなりそう、ぐらいの感覚。

 

  • マスク着用の習慣は、欧米諸国でワクチン接種が進むとすぐにノーマスクが広がったのを見るかぎり、コロナ禍終息となったときにはなくなっていく可能性が高い気がする。個人の意識に依存している部分が特に大きいし、感染者数が減っていったときに徐々に買い足しをやめていく人が増えるのでは。息苦しくて喋ったり運動したりするときに不都合なのと、飲食のときに付けたり外したりするのも正直面倒だしなあという感じ。
    ところで、下記の調査結果(※2021/02時点)によれば、コロナ禍ど真ん中においても公共の場でのマスク着用率に国による違いが結構あったようで驚いた。スウェーデンをはじめ、北欧のマスク着用率が全体的に低いらしい。

    新型コロナウイルス自主調査:2021年最新のマスク着用率は?~世界23か国・地域調査~ | 市場調査・日本リサーチセンター(NRC)

  • 手指消毒については、店舗や事業所等に入るとき・出るときにやるものとして、ある程度は定着していくんじゃないか。お店とかの経費にどの程度はねているのかよくわかんないけど、COVID-19にかぎらず感染症対策全般に効果があるだろうから、費用対効果は小さくないように感じる事業者が多いのではと思う。
    イベントの時にスタッフが来場者に手指消毒しまくるようなのは人手もかかるし続かない気がするけど、消毒液を設置しておいて来客・来場者が勝手に消毒するやつぐらいは継続するんじゃないかな、という読み。

 

  • パーティションとかは、コミュニケーションの上で壁になる・邪魔になる印象が強い気がして、あんまり続いていかない気がする。1度購入しているのでサンクコスト効果みたいな意識が働いて、しばらくはなんとなく置かれているかもしれないけど、コロナ禍もう終わったよねという意識になっていくと撤去が進みそう。
  • 飲食のテイクアウトやデリバリーは別になくならない気がする。UberEatsも出前館もコロナ前から存在はしていて、今回一気に普及が進んだ印象。飲食店もテイクアウトをやるところが随分増えた。飲食店のテイクアウトは結構コストがかかったり面倒だったりするところもあるみたいから、やめていくところもあるだろうけど、コロナ後も需要はあると思うので続く気がする。UberEatsとか出前館も、外出たくない人の需要はある気がして、一旦ここまで普及するといきなり潰れることはないのでは(薄利多売な商売っぽいので怪しいところもあるけど)。

 

  • 人々の消費マインドみたいな点でいくと、内閣府の消費動向調査における消費者態度指数とかは現時点(2021/09時点)でもかなり戻ってきていて、まあこんな感じで元に戻っていくんだろうなーという感覚がある。2020/04の初回緊急事態宣言時にガッツリと谷が来てたようだけど、復調はそこそこ速いな。

    統計表一覧:消費動向調査 - 内閣府

  • ただ、中心市街地の外出者数を見ると、緊急事態宣言があろうがなかろうが、コロナ前よりは減ってる状況が延々続いていて、これってそうそう簡単に戻るんだろうかという気はしている。わざわざ人混み行かなくていいじゃんみたいなところはある。どうなるかちょっとよくわからん。にしても、人流データにここまで注目が集まる日が来るとは思ってなかったな。3密の状況を評価するような意味では、ややマクロな人流データに着目するのがどの程度適切かわからないけど。

    新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の対応について|内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室(→「人流の減少率」)

 

  • 在宅勤務について。例えば、東京都内のテレワーク実施率は、2021年に入ってからだと、従業員30人以上の企業においてざっくり6割程度で推移しているっぽい(下記リンク)。やってる会社の中でも、ほぼフルで在宅な会社からまあ形だけなところもありそうだけど、週3以上実施と言ってるのが半分ぐらい。全社員のうちどの程度なのかとかは細かくわかんないけど、そういうオーダー感。在宅勤務なんて完全に無理な業種も相当数あると考えるとそんなもんだろうな。

    テレワーク実施率調査結果|東京都

    ほぼフルで在宅に転換した会社は、そうそう簡単にもとに戻らないような気はする。元からテレワークのシステムや制度が整備されていたり、そうでなくても適性はあった会社が多いんではないか。感染症対策より効率的な業務遂行のほうが重視され始めると、対面コミュニケーションもある程度必要として時々出社することにはなるかもしれないけど、フル出社には戻らないような気がする。子育てや介護がある人が働き続けるには間違いなく在宅勤務が可能なほうがよくて、「多様な働き方」的なお題目のもとに残っていくようなイメージがある。
    ただまあ、『年収は住むところで決まる』とかでも言われてたような、人的資本のつながりベースの集積の経済みたいな話は全然引き続きあると思っていて、対面コミュニケーションの重要性は下がらないだろうし、大都市への人口集中とかもそこまで大きく変わらないだろうとは思う。

 

  • ただこれが、学校のオンライン授業とかになると話が別だろうと思っていて、教育効果とかいろいろ考えるとまあ元に戻っていくだろうという気がする。集団生活の中で人付き合い含めて学んでいきましょうやというのはバカにならんだろうなと、自分自身も集団生活や人付き合いが苦手で学校生活に苦労したタイプだからこそ思う。勉強だけなら家でもできるだろうけど、人付き合いや思い出づくりとかも含めて人格陶冶していく的なところはまああるでしょうよという感じ。

 

  • ライブ等のオンライン配信は正直ありがたい。リアルで見たい人はリアルがいいからそっちも復活していくと思うけど、チケット争いが激化していて、その点オンラインだとキャパ増やせて遠隔地にも優しいから、こっちはこっちで残っていくんじゃないかなーという気がする。そうであってほしい気持ちもある(配信設備とか大変なんだろうけど)。

 

  • 国内旅行はまあ、ぼちぼち気兼ねなく行けるようになっていくでしょう。問題は海外渡航だと思っていて、長期間の隔離がある間は、プライベート目的の旅行はしづらいし、ビジネス目的であってもハードルは高い、そういう現状と思う。感染拡大が国境での水際対策にかかっている以上、パンデミック終息が世界的に合意されるような状況にならないとまあ厳しいだろうと思う。逆に言えば、WHOの終息宣言的なものが出る?までは厳しい状況が続いて、一旦解禁になると一気に行けるようになる的な、0/1な感じになるだろうなーという気がする。海外旅行行けるようになったら、取り急ぎ、ウズベキスタンポルトガルと台湾とウラジオストクに行きたいのだが……。

 

  • 日本は、欧米と比べるとピーク時でもそこまで感染拡大がひどくならなかった分、コロナ禍終息の社会的合意を取るのが結構大変そうな印象がある。ある程度死者数・感染者数が減って、世界の多くの国ではもうおしまいとなったときにも、いやいやまだ危ないよねと心配になる人が(おそらく、自分も含めて)比較的多いだろうと思う。この先ワクチン普及がさらに進んでもなお感染者数がガッツリ増えるとかがあれば、またいろいろと見方が変わるのだろうけど。