東京都内の昼夜間人口比率
概要
昨今の在宅ベースな情勢、この傾向が根付くと続くかもしれない、という状況で飲食店等どうなんだろうと思うと、特にオフィス街や学生街など普段は居住者より通勤・通学者の方が多いエリアではいくらテイクアウトとかがあってもなお厳しいだろうなあと考えるわけですが、それって具体的にどの辺なんだ?と思って可視化を試みました。
指標としては昼夜間人口比率というのがあります。昼間人口(そのエリアに通勤・通学する人*1)/常住人口(そのエリアに住んでる人)の比率で、100% より大きい場合は通勤・通学者の方が多い、100%未満であれば居住者の方が多い。
この数字は国勢調査で出てるけど、日本全国となると市区町村単位でしか出てなくて、これだと大雑把すぎて冒頭に書いたような細かいエリアの性格までは説明できない。ただ、東京都については都から町丁目単位のデータが出てるので、これを見てみようと。
東京都の統計「平成27年国勢調査による 東京都の昼間人口(従業地・通学地による人口)」
境界データは本家国勢調査の小地域境界データを使いました。
結果と考察
八王子以西は切っちゃいましたが、東京都内の全体像は概ねこんな感じ。
昼夜間人口比率 100% 以下(⇔ 居住者≧通勤・通学者)のエリアが1番薄い色で、それ以降は昼夜間人口比率が高まるほど色が濃くなる形で表示してます。
1番濃い青は昼夜間人口比率 500% 以上。東京都心に塊としてあるのと、郊外部に点在しているのがわかります。郊外部に点在するものに関しては、主要駅周辺で人がよく集まる場所も含まれる(例えば、中央線沿いの中野・荻窪・吉祥寺・立川など)けども、広い敷地を有する施設が立地する(がゆえに、人が住まう場所がそもそもほぼない)町丁目も含まれています。目についた範囲だと、東京外大・東京学芸大・中央大・駒沢大などがある町丁目は1番濃い青ですね。あとは光が丘公園がある光が丘4丁目とか、でかいものだと羽田空港とか*2。要は人がほとんど住んでないので、ある程度人が来ることでめちゃくちゃな昼夜間人口比率になるというからくり。
郊外の拠点都市(例:調布・府中・八王子等)はこの見せ方だとそこまで目立っていないのですが、駅周辺の昼夜間人口比率は概ね200%を超えているので、それなりの拠点性を発揮していることは事実だと思います。
その他で思いのほか昼夜間人口比率が高い(青く色がついてる)エリアとしては、日暮里舎人ライナー沿線・板橋区高島平周辺・伊勢崎線竹ノ塚周辺など。前者2箇所は大きな工場や流通基地等が立地していて住宅が少ないのがそもそも原因な気がします。竹ノ塚周辺はシンプルに意外でした(ご近所の方には怒られるかもしれませんが)。
都心部にフォーカスするとこうなる*3。こうして見ると、例えば以下のようなことが言えそうです。思いのほか山手線の内側と外側で綺麗に傾向がわかれていることが、今回の大きな気付きです。
- 山手線の外側は、少し外れるだけでも昼夜間人口比率が100%以下の(居住者の方が多い)エリアが多数を占めるようになっており、昼夜間人口比率が高い(通勤・通学者が多く集まる)エリアは駅前に点在する程度。昼夜間人口比率が高いエリアがびっしり並んでいるのはせいぜい山手線沿いぐらいなもの。
- 山手線の内側も別に昼夜間人口比率が高い(通勤・通学者が多く集まる)エリアがびっしり分布しているわけではなく、昼夜間人口比率が100%以下の(居住者の方が多い)エリアも結構ある(例えば、池袋〜新宿にかけての副都心線東側、渋谷〜品川にかけての山手線東側(おそらく白金台辺りを含む))。とはいえやはり、昼夜間人口比率が高い(通勤・通学者が多く集まる、「外から多く集まってくる」)エリアが多数を占めていることは確か。
結論は特にありません(別に、冒頭の問題意識に自分で答えられるような結果でもない気がしますが、強いて言えばやっぱり山手線の内側や郊外拠点都市まわり、大学等の周辺は全般的に結構大変かもなあという感想です)。